その2 いつも通りですよー!!

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「………ぅんっ…」 声がしたので、思わず振り向くと、タイミング悪くバッチリ目が合ってしまった。 そして、あろうことか、その瞬間、圭は眉根を寄せて……、 「……はぁ?」 …………なんだろ。ありえない言葉を耳にした気がした。 ていうか、ありえないよね!?? 私の顔を見るなり、「はぁ?」はないんじゃない?? イラッとしたが、脳内にとどめないように受け流す。 おっけー、思い出した。コイツは昔から頭が弱いんだった。 ふぅ………落ち着いて、南。 三年ぶりだからね。忘れていたのも無理ないよ! 「やっと起きた。昨日、私の家の前で寝てたから…」 「お前の家?なんで?」 コイツ…!! 人が言い終わる前に食い気味にくる。しかも、高圧的で態度悪!! 我慢できずに思い切り舌打ちしてやると、ギロリと睨まれて。 「頭痛い……今何時?水ちょうだい」 脈絡ないな。あーうざい。 あなたにあげる水すら惜しいです。 いやいや、ダメダメ。同じレベルに落ちてどうするの? ここは余裕でスルーして!! 仕方がないので水を手渡しながら短く「10時」とだけ答えた。 すると、水を受け取ったコイツは一気にそれを飲み干して。 「南の家って……なんで?いつから?なんで俺、ここにいんの?」 少し目覚めたコイツには疑問がたくさんあるらしい。 最後の疑問は私の一番の疑問でもあるけどね。 「おい、南?黙ってんなよ」 圭は一瞬、止まって、「あ…、そっか」と、一人で勝手に何かを思い出した様子。 先を促すように見ると…、 「昨日の夜はサークルの飲み会に行ったんだった。その後、飲みすぎたから途中で家に帰って………あれ?」 「家に帰ったのに、なんで私の家の前で寝てんのよ?」 「……………さぁ?」 少しの沈黙の後、ため息混じりに笑いながら首を傾げるこの男。 わぁ♡笑顔が素敵♡ …………なんてまさか思うわけもなく、この馬鹿!!ふざけるな!!…と心の中で乱暴に悪態付いた。
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