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「あ、……携帯。あれ?携帯ない。携帯知らない?」
「さぁ?」と真似した私を一瞥し、あっれーおかしいな、とやっている。
「あれ?俺、財布もないじゃん??」
何でー???と騒ぐコイツになんだか苛々した。
だって、起きたのなら、はやく帰ってほしいもん。
「なぁ、南」
「……なに?」
「携帯…」
「だから、知らないって」
「じゃあ、財布は」
「それも知らない。はやく帰れば?」
「え、まさか盗った?」
「盗るわけないでしょ!?もう出て行ってよ!!」
「ゴメン、ゴメン。冗談だって…」
鼻息荒く怒鳴る私に、引いた様子の圭。
「店に忘れた?……か、落としたかな…。なあ、携帯貸して」
「なんで?」
「いいから。はやく。俺のないんだもん」
自己中の極み。
こんなヤツの携帯も財布も見つからなければいいのに…、と思ったけど、見つからないとコイツが出ていくのも遅くなる気がする。
仕方がないので、しぶしぶ携帯を差し出した。
しばらくすると、乱暴に投げられて携帯が戻ってくる。
「ちょっと!投げないで!」
「警察署にはないって。店はまだ閉まってる。開店は夕方からかな?まいったなー…」
いよいよ本気で参ったな~モードの圭。ここで嬉しくなった私は性格が悪いのだろうか?
私はにやにやが顔に出ていたらしく、圭は再び引いた様子で、
「何だよ。気持ち悪い。…まあ、お前といてもいい事なさそうだし、帰ろうかな。お邪魔しました」
はぁ?いちいち癇に障る言い方!
「そーですね。私もあなたと過ごす時間は無駄だと思います。お引取り下サイ」
「お前、変わんねーな。まじ可愛くねー女」
何だと…!?最悪男…!!!
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