その2 いつも通りですよー!!

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――――――――…… 「痛い…痛いって!押すなよ、南!」 「いいから!さっさと帰ってよ!!」 玄関で靴を履く圭に「早く帰れ!」と、力任せに押す私。 あれから、悪態づいたお互いの態度がきっかけで口論になり、今に至る。 「だから帰ってるって。マジお前、ふざけんな!」 背中をぐいぐい押しながら、玄関の扉を開け、早く帰れと誘導してやる。 玄関から圭の足が全部出た所でコイツの動きが止まった。 反動で思い切り、圭の背中に鼻をぶつけた私。 嗚呼、格好が悪い。 「何よ。急に止まらないで…」 文句を言いながら、圭を見るとなんだか表情がおかしい。 「南チャン……マンションの名前ってエトワール?」 「え?うん。そうだけど」 「ここ、何階?」 「……?三階だけど…」 「まじで…」 明らかに脱力した様子の圭。なんだ? 何度か、「まじかー、まじかよ…」と繰り返していたが、はぁー…という深いため息の後、圭がこっちを振り向いた。 満面の笑みで、否、よく見ると引きつった不自然な笑顔で。 そして……、 「南チャン。ここ、俺の家」 ヨロシクネ、と。 隣の扉を指差して、そう言ったのだった――――…。
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