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* * *
「ごめんねー!お待たせ!!」
息を切らして待ち合わせ場所に着くと、高田君が驚いている。
「大丈夫?何でそんなに急いだの??」
駄目だ……息が……息が出来ない…。
質問に答えたいけれど、全速力で走ってきたために力尽き、ゼイゼイと息をしながら地面にへたりこんでしまう。
「急に止まらないほうがいいんじゃない?ゆっくりでも歩いたほうが…」
さすが元陸上部の高田君。クールダウンの方法を良く知っているね…と尊敬したが、死にそうでそれどころじゃない。
「そんなに急がなくても、遅れるって連絡くれたらよかったのに…」
そう言って心配してくれている高田君の表情に呆れの感情を含んでいることは気付かない振りをしようと思った。
そして、私が落ち着いた頃。
「予定通り、映画でいい?それとも何か飲みに行く?」
心配そうに高田君が聞いてくれて。
「そっか!そうだ!映画だったよね!映画に行こう!映画がいい!!」
「どうしたの?何かあったの?」
「今日!?何が?あるわけないでしょ?何で!?」
「いや…、何か様子が変だから」
前のめり気味の私に引き気味の高田君。
「そんな事ないよ?いつも通りだよ~」
「なら…、いいんだけど…。本当に大丈夫?」
心配そうな彼にへらへら笑いかけると、曖昧な笑顔が返ってくる。
絶対、変だと思われてるじゃん…。くっそ!圭のヤツ!!
何もかもあの男の所為。台無しじゃない!!
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