その2 いつも通りですよー!!

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―――帰り道。 私はどうやったら部屋の中が見えないかを必死に考えていた。 上の空で会話をしながら、頭をフル回転させていたら、「南ちゃん、聞いてる?」と。 「え?」 「聞こえてなかった?今学期の教養は音楽を選択しない?それなら一緒に受けられそうだから」 にっこり微笑む高田君にドキドキして、あーもう!!!と悶えそう。 「うん、絶対とる!」 大きく首を振って頷き、意地でも一緒の大学に入って良かったな~と幸せを噛み締めていたのも束の間……。 場所――、は私の部屋の前。 高田君には「マンションの下で待っててくれる?」とお願いしたが、「一緒に行くよ、悪いから」と上がってきてしまった。 扉の前で、昨日はここに圭が寝ていたな…と思ったが、そんなことはどうでもいい。というか、それどころじゃない。 「じゃあ…、取ってくるから、ここで待ってて!引越しの荷物がまだ片付いてなくて、部屋ぐちゃぐちゃなの!」 「そんなの気にしなくていいのに…」 よかった…。今度はそう言いながらも、待っていてくれる様子。 これなら、さっと開けて入れば、部屋の中は見えないはず。 ………アレ? さあ、入ろう!と鍵を鍵穴に突っ込んだが………、なぜか回らない。 しかも、逆方向に回すとガチャン、と鍵が閉まった。 「―――っ…」 「鍵閉め忘れたの?」 「カモネ…」 そうだった…。気を取られて閉めなかったよね…。 力なく頷いた私に、高田君は「危ないよ?留守中に誰かが入ってくるかもしれないじゃん。気を付けて」と心配してくれている。 だよね…。 でも…、部屋の中にはそのがいるんだけどね…。 再び、鍵を回して鍵を開けて、「ここでいてね」と念を押し、部屋に入って急いで扉を閉めた。 ―――瞬間、 「痛っ……ッ…!!!」 玄関の何かに躓いて、地味な痛みが体を襲う。 「南?何やってんの?」 煩わしそうに圭が出てきたのとほぼ同時。 玄関の扉が開いて、 「大丈夫!?南ちゃん!?」 高田君も入ってきてしまった。
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