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その3 あっれ?え??誰かいましたっけ?
「颯チャンじゃーん。なーんで?」
「なんで圭がいるの?」
嬉しそうに驚く圭に、驚きながらも、若干嫌がっている様子の高田君。
表情が…うん、表情がなんとなく嫌そう…。
「南とは幼馴染みなの」
「……ふーん、そう」
「や…、そんな大層なものじゃ…」
実家は隣だが、小学校、中学校の間、仲良くした記憶がない私と圭の関係を、はたして幼馴染みと呼べるものかどうか分からない。
でも、まあ…、今そんなことはどうでもいい。
もっと気になっていることがある。
「二人は知り合いだったの?」
「学科が一緒」
「席も近いよねー」
「お前が近くに座ってくるだけ」
「そう、だったんだ…」
その偶然にも驚きだけど、何より、圭が高田君並に頭が良いなんて信じられない。
問題を起こす、ただの馬鹿だった記憶しかないのに…。
しかも、私とも同じ大学…。
色々なことに困惑して圭を見ると、「高田君って…」と呟きながら、急に笑顔から真顔になった。
そして、恐る恐る、高田君に話しかける。なにその表情…?
「颯ちゃん?まさかとは思うけど…、南と付き合ってるの?」
「そーだけど」
「うっっそだろ!?マジで!??もっといい女いただろ!??」
おおぉぉぉい!!圭!!!
しかも、あろうことか絶叫に近い声。
「……失礼だな。お前、知り合って2週間だろ。それに、南ちゃんはすごく良い子だよ」
やっぱり高田君は素敵だなぁ。
優しい言葉で反論してくれる高田君に感動して泣きそうになりながら、「あー、ビックリしたー。ありえなーい」と独り言を言う圭を本気で殺してやりたくなった。
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