その3 あっれ?え??誰かいましたっけ?

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だけど、そんなことより、ここに来た目的は……、 「高田君、レポートあったよ。これで間違いない?」 私は、シラバスに挟まっていたレポート用紙を高田君に渡した。 「これこれ!よかったー。ありがとう」 高田君はそれを受け取ると安堵の表情で私に微笑んだ。 ………と、直後、そのレポート用紙を圭に向かって投げつける。 「痛っっ!!…何すんだよ!?」 「それ、続きやっといて」 「一緒にやるんじゃなかった?」 「途中までやった」 「めっちゃ触りじゃん!コレ!」 騒ぐ圭を全面的に無視の高田君。 えーーっと…、いつになく機嫌悪くないデスカ?? 「あのさー、なんで圭はここにいたの?」 「それが…、俺も良く分かんないんだよな…」 真顔で答える圭に不信感いっぱいの高田君。 こら!話をややこしくするな! 「あの…昨日ね、帰ってきたら、コイツが家の前で寝てて…」 「まさか昨日からいるの!?」 おーっと、なんか間違った??? 勢いよく反応する高田君に、なんだかヤバいみたい…としどろもどろの私。 「でもね、コイツ、ずっと起きないし、ずっと寝てて……えっと、起きたのは昼だったかな…」 「ああ…、それで今日は様子がおかしかったんだ?」 ため息混じりにそう言い、私をじっと見る。 どうしよう。こんな高田君初めて見る…。 何て言えばいいのか分かんないし。 高田君の顔を見ることができずに俯くと、刺すような視線の痛みを感じて泣きそうになった。 「…………ごめんなさい」 沈黙に耐え切れずに小さな声で謝ると、「べつに謝ってほしいわけじゃないよ」と返ってくる。 世の中には謝って問題が解決することよりも、謝ることで更に人の機嫌を損ねてしまうことが結構、多くあると思う。 今が、まさにその状態だよねー、なんて頭の中は現実逃避まっしぐら。
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