その1 だって、怖かったから

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―――2時間前@大学構内カフェテリア 4月、所謂「新学期」というやつだ。 サークルに新入生を仲間に入れようと先輩方がチラシ配りに精を出している。 そんな私も新入生。 何のサークルにしようかなぁと壁に貼ってあるポスターを眺めると「リンボーダンス」の文字。 えー、すごいの見つけちゃったし。 何これ、何処かの部族にでもなるつもりかな? そんなどうでもいいことを考えていると待ち合わせの相手がやってきた。 「お待たせ、南ちゃん」 「お疲れ、高田君」 振り向いて、自分の中での最高の笑顔で応える私。 短めの黒髪に鼻筋の通った端整な顔立ち、身長は高く清潔感のある彼は、【高田 颯太(たかだ そうた)】 高校生の頃からつき合っている彼は、一見、華奢に見えるけど、引き締まった筋肉質な体つきは「陸上選手なんだ〜」と頷ける。 陸上の大会では全国一位、成績も常に上位。しかも容姿も性格も最高に良し。 高校で大人気だった彼は私にとっては憧れそのもので、好きだと言われたときは本当に夢だと思った。 だから、大学でも離れたくなくて、成績優秀な彼と同じ学部は無理でも、同じ大学には入りたいと受験勉強を頑張った。 その結果が今である。
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