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――金曜日P.M.9:00@自宅前
“黒いもの“が人だと分かったのは扉の前まで来たときだった。
黒いミリタリージャケットを着た男が廊下に背を向け、手足を折り曲げた状態で丸くなって横たわっている。
さっきの私からはジャケットしか見えなかったようだ。
これって……、死体!??
……………じゃないよね?
なんでここに?
これは誰??一体何なの???
この男をどうしようかとぐるぐると考えをめぐらせたが、頭はパニック状態。
「……どうしよう?」
特に考えはまとまっていないが、話しかけてみることにした。
「あのー。大丈夫ですか?」
「…………」
「生きてますかー?」
『…………』
………………返事はない。
怖いな~と思いながらも、勇気を出して男の肩を揺さぶってみる。
「大丈夫ですかー?」
息はある。
どうやらその男は眠っているみたいだ。
ひとまず安心した私はだんだん「人の家の前で寝てんなよ!」という思いでいっぱいになり、男の体をゆさゆさと揺さぶり続けた。
…………と、その瞬間、男の顔が見えた。
「………え?」
……………………息が、止まるかと思った。
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