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「留守ですよ。私も押しましたけど」
川島の言う通り留守のようで、中に人の気配なかった。すると、そこに管理会社の男がやって来た。比嘉達に「ちょっとすみません」と声を掛けて、1208号室の鍵を開けた。
「あの、小原さんは?」
比嘉が男に尋ねると、男は盛大に溜息を吐いた。
「出て行ったみたいですよ。なんでも、部屋にある荷物は全部捨てても良いからって電話があったみたいで。人が死んだ部屋の隣りにはもう帰りたくないとか。最近の人は勝手ですよ」
「私も入らせてもらって構いませんか?」
比嘉が言うと、男は無気力な様子で「良いんじゃないですか」と答えた。
「欲しいものがあったら、持って帰られても構いませんよ」
そう言った男に続いて入った部屋の中には、冷蔵庫やテレビ、ベッドといった、簡単には持ち出せない物がそのまま残されていた。
「はぁ……。服とかだけは持って出たみたいですね」
クローゼットを開けた男が面倒臭そうに、残されている物をリストアップしている。その背中越しにクローゼットを見た比嘉が目を光らせた。
これまでバラバラだったピースが、一気に嵌り始めた。
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