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「どうやら事故ですね。不審な点はありませんし、いわゆる『密室』だったようですから」
「『しかし』と続きそうですね」
そう口にしたのは川島だった。そして、鑑識官はそれに頷いた。
「ええ。どうもアレが気になるんです。中身に手は付けられていません。伝票によれば、注文を受けたのは今日の十一時半です」
鑑識官が指を差した方に二人が視線を向けた。遺体と割れた花瓶、飾られていた造花のヒマワリ、血を吸った玄関マットは運び出されていたが、下駄箱の上に置かれたピザの箱はそのまま残されていた。
「確かに気になるな」
そう言ったのは比嘉だ。眉間に皺を寄せてピザの箱を睨みつける比嘉に、川島は首を傾げた。
「何かおかしいですかね?」
川島の疑問に、比嘉から答えは返ってこない。自分で考えてみろと無言で告げている。
「玄関に置いてあるということは、受け取った直後か、どこかに持って行こうとしていたか。あ、テイクアウトで買ってきたということも……でも裸で置かれているから、テイクアウトの線はないか」
川島の言葉を聞いて、比嘉が川島に問いかけた。
「自分をその立場に置いて考えてみろ」
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