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「あの二人、なんだかんだ続いてるね」  渡り廊下で女の子が二人、正門を出ようとしている三城と小鳥遊を見物していた。  冬が終わり春が来て、それでも三城と小鳥遊は隣同士並んで歩いていく。 「三城がさ、小鳥遊のことエンジェルって言っててさ」 「え、マジうけるんだけど」 「佐子と葵カップルに対抗してんだって」  二人でアハハと声を出して笑う。 「でも佐子より小鳥遊の方が好きだわ」  片方の子が言うと「分かるわ」ともう片方が同意する。 「佐子のどこが天使なんだか。葵も他のヤツも見る目ないよね」  一人が窓枠に手をついて小鳥遊の笑顔を見つめる。 「小鳥遊ってば三城が違う子に言い寄られてたら自分から付き合ってる宣言したんだってさ。焦っちゃったらしいよ」 「可愛いとこあるよね」 「あざとカワイイ佐子より天使」  二人はまた笑って生暖かい春の風に髪を靡かせていた。
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