プロローグ

1/1
前へ
/25ページ
次へ

プロローグ

 その朝、蔵人(くらんど)は夢見が悪くて遅刻をした。  とはいえ、その日の最初の授業は、現代国語だったので、あまり急ぎもせずに学校へと向かった。  現代国語を担当している教諭は、教室に入ってきたら、生徒の様子も見ずに授業を始めることを知っているからだ。  教諭が黒板に向かっている時に、そっと後ろの扉から入ってしまえば、席は最後尾だからさほどの問題もなく紛れ込める。  そう考えて、そっと教室に入ったのだが。 「先生、周防(すおう)君が来ました」  蔵人が教室に入り、自分の席に座ったところで、隣の席の学生が立ち上がって、一言告げた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加