ダンゴムシの見た景色

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 ダンゴムシを沢山集めます。  彼らは一箇所に集まって生活しているから集めるのは簡単です。  彼らは臆病だから、指で突くと丸まります。一匹ずつ摘んで瓶に詰めていくのですが、彼らは馬鹿だから丸まったまま逃げようとしません。  瓶の蓋を閉めると、翌朝には窒息して動かなくなります。やがて、瓶がダンゴムシの死骸で満たされると僕の興味は別の生き物に移りました。  野良猫を沢山集めます。  彼らはすばしっこくて集めるのが大変です。  彼らは警戒してすぐに逃げていきます。ですが、野生を忘れかけた馬鹿もいます。首輪をした外飼い猫や、地域猫と呼ばれる奴らです。  彼らは人間慣れしていて向こうから近寄ってきます。阿呆みたいに脚に擦り寄ってきたところを捕まえて持ち帰り、ドラム缶の中に詰めていきます。  彼らはなかなかにしぶとくて一週間は動いています。鳴いています。共食いして生き長らえようとします。煩くてかないません。ドラム缶では力尽きる瞬間を見ることも出来ません。つまらない。僕は猫への興味を失いました。  次は何を集めようか?もっと大きい生き物がいい。  虫、猫と来たら次は……ヒトかな?ヒトが苦しみながら死ぬ様を見て、僕は何を感じるんだろう。  そんなことを考えながら歩いていたところ、僕はトラックに跳ねられ呆気なく死んでしまいました。
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