『第二部 比翼連理 第十章 蒼穹への黎明と』のあらすじ

1/1
前へ
/38ページ
次へ

『第二部 比翼連理 第十章 蒼穹への黎明と』のあらすじ

 この作品は、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第二部 比翼連理 第十章 蒼穹への黎明と)』( https://estar.jp/novels/26266128 )の続きとなっております。  また、物語全体のはじまりは、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第一部 落花流水 第一章 桜花の降る日に)』( https://estar.jp/novels/26084370 )です。  よろしくお願いいたします。 〈(ムスカ)〉との決着をつけ、ルイフォンとメイシアは、菖蒲の庭園から鷹刀一族の屋敷に戻ってきた。  仮眠を取って、目覚めた夜中。メイシアは、セレイエの記憶から知った『デヴァイン・シンフォニア計画(プログラム)』の真の目的は、『生き返った『ライシェン』が、今度こそ幸せな人生を送れるようにすること』だと告げる。  セレイエは『ライシェン』のために、ふたつの道を用意していた。  ひとつ目は、オリジナルのライシェンが本来、歩むはずだった未来。王家に生まれた〈神の御子〉として、王となる道。  ふたつ目は、優しい養父母のもとで、愛情あふれる家庭の平凡な子供として生きる道。  そして、ふたつ目の道を選んだときの養父母となるべく、ルイフォンとメイシアの出逢いが仕組まれたのであった。  セレイエは〈天使〉の力で〈冥王(プルート)〉に侵入(クラッキング)して、死んだ息子(ライシェン)の『記憶』を掻き集めた結果、熱暴走を起こして死んだ。正確には、集めた『記憶』をルイフォンの脳に預けたあと、命が尽きる前に愛するヤンイェンに一目逢いたいと、彼の幽閉されている館に向かったのが、メイシアの知るセレイエの最後だという。  セレイエの記憶を受け継ぎ、『デヴァイン・シンフォニア計画(プログラム)』を託されたメイシアは、『自分が〈天使〉になって『ライシェン』に『記憶』を入れなければ、セレイエの死が無駄になってしまう。しかし、〈天使〉になりたくない』と思い悩む。それを聞いて、ルイフォンは、自分たちが『ライシェン』の運命を――ひとつの命の未来(このさき)を託されたという責任を重く受け止める。  涙に濡れるメイシアに、ルイフォンは告げる。「『死んだ人間は生き返らない』――それが、人の世の(ことわり)だ」と。 『『ライシェン』に記憶を入れて、生き返らせたい』という、セレイエの願いは叶えない。けれど、それ以外のことで、『ライシェン』のために何ができるのか。未来(これから)をどうするか。ふたりで、(はら)を据えて考えていこうと、ルイフォンとメイシアは誓いあった。  緋扇シュアンは、〈(ムスカ)〉との決着を報告するために、ハオリュウのもとを訪れた。『〈(ムスカ)〉という共通の仇を倒すために手を組んだ』ふたりにとって、それは、この関係の終わりを意味する。  報告のあと、ハオリュウは今までの感謝を述べ、別れを口にした。しかし、シュアンは「警察隊を辞職するから、部下として雇ってくれ」と言う。  ハオリュウにとっては、願ってもないほど嬉しい申し出だが、貴族(シャトーア)の彼と行動を共にするということは、平穏な人生を歩めなくなることである。それ故に、断ってしまう。  しかし、シュアンは「自分の『正義』のために、ハオリュウを自分好みの権力者に育てたいだけだ」「あんたに賭けたい」と、ハオリュウの心に弾丸を撃ち込む。そして、ハオリュウはシュアンの手を取った。  翌日。鷹刀では、一族を裏切ったリュイセンの報告と処分の会議が開かれた。リュイセンは、どんな罰でも受け入れる覚悟をしつつ、どんなに時間が掛かっても、未来の総帥として認められるよう努力すると(はら)を決めていた。それが彼の()すべきことであると。しかし、言い渡された『処分』は、リュイセンの『次期総帥任命』だった。  あり得ない昇格に、リュイセンは納得できないと喰い下がる。だが、祖父と父が自分に『最後の総帥』になることを望んでいると気づき、有り難くその(めい)を受けた。  束の間だと分かっているとはいえ、やっと訪れた平穏な日常。  ある日、ルイフォンはメイシアを連れて、〈(スコリピウス)〉の研究所跡――〈スー〉の家に行く。そして、眠っている〈スー〉に――母のキリファに、メイシアを紹介する。「俺を幸せにしてくれる(ひと)。そして、俺が幸せにする(ひと)だ」と。 ===『di;vine+sin;fonia デヴァイン・シンフォニア計画(プログラム)』===  主人公ルイフォンの姉セレイエによる、殺された息子ライシェンを蘇らせる計画。  王の私設研究機関〈七つの大罪〉の技術で再生された『肉体』に、ルイフォンの中に封じたライシェンの『記憶』を入れることで『蘇生』が叶う。  また、生き返った『ライシェン』が幸せな人生を送れるように、セレイエはふたつの未来を用意した。  ひとつは、本来、ライシェンが歩むはずだった、父ヤンイェンのもとで王となる道。  もうひとつは、愛情あふれる家庭で、優しい養父母のもとで平凡な子供として生きる道。  セレイエは、弟であるルイフォンと、ヤンイェンの再従妹(はとこ)であるメイシアを『ライシェン』の幸せを託す相手として選び、ふたりを出逢わせた。 『di;vine+sin;fonia』という名称は、セレイエによって名付けられた。 『di』は、『ふたつ』を意味する接頭辞。『vine』は、『(つる)』。  つまり、『ふたつの(つる)』――転じて、『二重螺旋』『DNAの立体構造』――『命』の暗喩。 『sin』は『罪』。『fonia』は、ただの語呂合わせ。  これらを繋ぎ合わせて『命に対する冒涜』を意味する。  この計画が禁忌の行為と分かっていながら、セレイエは自分を止められなかった、ということである。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加