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「ずっと想ってきたんだよ!誰かに奪われるくらいなら……俺が今もらう!」
「はぁっ!?何を!?」
また近づいてきた唇を避けると、リューラの眉がピクリと動く。
「逃さない」
強い言い方で乱暴にタイが外されて、隠すように着けていた昨日リューラがくれた宝石の付いたピンも飛んでいった。
「てめっ!!」
思わずその脇腹を殴ると、鋭い目がこっちを見る。
「俺のこと嫌い?」
「あ?」
睨み返すとリューラは少し眉が下げた。
「最近全然笑ってくれないもんね……」
悲しげな声を出されてイライラが募る。
「うるせぇ!そもそもな!俺もてめぇも男なんだよ!」
「だから?」
怒鳴ると、リューラは俺の上に伸し掛かったままスッと真顔になった。
「好きとか嫌いとか、んなもんどーだっていいだろ!」
その反応にもイラつく。
そもそもこんな状態……力の差を見せつけられているようで気に食わない。
「よくないよ!俺はずっと好きだったんだから」
だが、俺のイラつきがわからないのか、わかっていても気にしていないのか、リューラはまだ告白してくる。
「それは兄として……」
「サラは兄じゃない!」
呆れを混ぜながらため息を吐くと、リューラはキッパリと否定してきた。
「知ってるわ!つか、サラじゃねぇ!サライドだっつの!てめぇこそ、俺を女扱いしてんじゃねぇぞ!」
気に食わない呼び方にも文句を言って睨みつけるのに、リューラは俺の顎を捉えてくる。
「女扱いなんてしないよ!ただ好きなんだ!」
何で俺がこんなことをされないといけない?
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