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「本当は今日の式を終えて、正式に王となってから告白するつもりだったんだよ」
確かに今日は国民たちが待ちに待った戴冠式だ。
先代が亡くなって王として即位することにはなったが、まだリューラが十六の未成年だったため、十八になるまでは父さんが一応の後見となって大臣たちと共にフォローをしてきたから。
今日、リューラは十八の誕生日を迎え、正式にこの国の王となる。
しかし、これまでもほぼ王として職務はこなしていたし、国民はリューラを王として認めてきたんだから形だけの式だろうが。
「それでもダメなもんはダメだけどな」
もちろん流されることもなく俺はちゃんと否定はしておく。すると、
「何で!?」
リューラはムッと口を曲げた。
「わっかんねぇ奴だな!俺もお前も男だからだよ!」
「だから、それでも好きだって言ってんだよ!」
もう何度このやり取りをしているのか?
このままでは埒が明かない。
「知るか!お前はこの国の王で、俺は下っ端公爵の息子だよ!ただ、たまたま親同士が親友だったから幼なじみってだけだ」
でも、理解させなきゃいけない。
「違う!俺はずっと好きだったんだよ!サラにも絶対「好き」って言わせるから!」
自信満々で顔を近づけてくるリューラの口を両手で防ぐ。
「言わねぇよ」
「言わせる!」
俺の手を退けて宣言してくるリューラの目が真剣過ぎて頭を抱えた。
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