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「こんな時間まで仕事なの? 大変ね」
将周はメッセージの相手を思い出し、目を細めた。
別れさせ屋——天王寺大和を雇ったという人間を探しだしたあと、将周は大和を雇った。
「依頼人は花水木愛姫だったんだろ?」
「さてね」
連絡をとった際に確認すると、大和はくすくすと笑うのみだった。
「あいつを落としてくれ。いつも千枝華につきまとって困っていたんだ。報酬ははずむ。ついでに、王冠物語は俺が買い取るからそれも払う」
「律儀だね」
大和はくすくすと笑う。
「それならクリスマスにふるところまでセットにしてもいいよ。最悪のシチュエーション、意趣返しにはピッタリじゃない?」
「いい性格してるな」
将周はあきれた。言外に依頼人を暴露しているのもわかってやっていることだろう。
「どういう筋書きにしたものやら」
楽しそうに大和は言う。
「いくらでも作れるんだろう? 依頼を受けたときに惚れたとか」
「頭まわるね。あなたも別れさせ屋やってみない? そのルックスといい、向いてるよ」
「やるわけないだろ。俺は一筋だから」
将周の返答に、また大和は笑う。
その後は事務的な話をして電話を切った。
次にきた連絡がついさっきの完遂の報告だった。
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