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「なんかいいなあ。僕も通おうかな」 「本、好きですか?」 「好きだけど、ファンタジーに偏ってるかな。君は?」 「いろいろです。ミステリーもSFもアクションも読みます」 「好きな作家は?」  ファンタジーの作家名をいくつかあげると、 「俺もその人好き!」  と彼はうれしそうに笑った。 「古典だけど、王冠物語は読んだ?」 「読みました! 面白いですよね! このシリーズも王冠物語の影響があるって作家さんが言ってて、オマージュしたシーンが熱くって!」 「だよね。友達で本を読むやつはいなくてさ、なんかうれしいな」  眼鏡越しの目が優しく細められた。 「この図書室でおすすめってある?」 「ちょっと待ってください」  ファンタジーの本をいくつかみつくろって持って来る。 「これは読んだな。こっちは初めて見る」 「SFとファンタジーの融合で面白いですよ」 「これも借りようかな。あ、もちろんこっちを先に読むよ!」  新刊を差して、彼は言った。  千枝華はにこっと笑う。
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