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「早くやることやっちまえよ。この部屋使っていいよ。一泊していきなよ。支払いも終わってる。鍵はこれ。ここまできたら逆に俺キューピッドだね」
動揺した千枝華は言葉をなくした。
「君が来なかったら彼女を口説き落として俺とお楽しみの予定だったんだけどさあ」
「黙れ!」
将周が怒鳴ると、大和は笑った。
「彼女の愛にあぐらをかいてると、愛想をつかされるよ」
笑いながら大和は出て行った。
千枝華はまばたいて将周を見た。
将周も彼女を見返す。
先に目をそらしたのは千枝華だった。
「私……」
千枝華はか細い声で言う。
「大丈夫だから。将周さんが好きだから……」
将周にしがみつく手に力を込める。顔が真っ赤だ。
彼は千枝華を力いっぱい抱きしめる。
「そういうこと言わないでくれ。我慢できなくなる」
将周は優しく千枝華に囁く。
「……クリスマスは覚悟しておいて」
千枝華の耳が熱くなる。
彼女はどきどきしながら頷いた。
将周は微笑を浮かべて彼女の頭を撫でた。
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