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 山中湖の湖畔では紅葉祭りが開催されていた。  暮れかけた日を背に会場に着くと、たくさんの露店が並び、人々がにぎやかに行き交っている。数か所に焚火がたかれ、見た目にも温かく人々を明るく照らしている。  その火に長い棒を差し出して和やかに笑い合う人たちがいる。 「マシュマロだわ」 「ほしい?」  聞かれて、千枝華は即座に頷く。  店に並ぶ間にも、千枝華はわくわくと焚火を眺めた。  二人でマシュマロを買い、長い棒についたそれを火にかざす。  が、すぐには焼けない。  じれったくて、千枝華は炎に直接マシュマロをつっこむ。  直後、マシュマロが燃え上がった。 「どうしよう!」  千枝華が焦ると、将周は苦笑して自分のマシュマロで押さえて火を消す。  なんとか鎮火して、千枝華は少し焦げたそれを食べる。口の中でふわりと溶けて、甘さが口いっぱいに広がった。 「おいしい!」  将周は千枝華の笑顔に満足そうな笑みを浮かべ、自分のマシュマロを口にする。 「あつっ!」 「大丈夫?」  大丈夫、と将周は笑った。
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