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紅葉が散り、かわりに枝を飾る雪が話題に上るようになった。街には赤と緑の飾り付けがあふれ、ジングルベルがあちこちから響く。
12月24日、千枝華は仕事のあとに将周の一人暮らしのマンションを訪れた。
将周は微笑して千枝華を迎え入れた。
「いらっしゃい。髪切ったんだね、似合うよ」
「ありがとう」
千枝華の腰まであった髪は胸元で切りそろえられ、ダークブラウンに染められている。
「すごく寒かったわ。雪が降りそう」
「ホワイトクリスマスになるかな」
部屋にはクリスマスツリーが飾られていた。しばらく前に二人で買いに行き、二人で飾り付けをしたものだ。色とりどりのオーナメントが下げられており、イルミネーションライトがゆっくりと明滅している。
将周は千枝華を手料理でもてなしてくれた。
チキンの丸焼きに、リースを象ったサラダ。フライドポテトにミートローフ、ローストビーフ。チーズの星が飾られ、バラの花のように重ねられた生ハムが乗っていた。蓮根は端を切り落としてまるで雪の結晶のようになっていた。
「おいしそうだけど、二人で食べるには多すぎない? しかもお肉ばっかり……」
「はりきりすぎたかな」
将周は苦笑した。
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