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 テーブルにつき、料理をいただく。 「おいしい!」  千枝華はどれも喜んで食べた。  シャンパンを飲み、ケーキを食べて、くつろいだひとときを過ごす。 「二つ、報告があるんだ」  将周はにこにこしながら言った。  「俺たちが出会ったきっかけのあの本、映画化が決まったよ」 「そうなの!?」 「前に言ったろ。親父に企画を出したらやるはめになったって。この映画化の企画だったんだ。だからうちの会社が……五百里グループがスポンサーだ」 「すごい!」  千枝華はただそれだけしか言えなかった。  二人を結び付けたあの作品が将周の企画で映画化なんて、絶対に公開初日に見に行きたい。 「完成したら、公開前にこっそり二人で見ちゃおう」  将周がいたずらっぽく言い、千枝華は驚いた。スポンサーなら、そういうこともできるのだろう。 「もう一つ、来年の四月には本社には戻れることになった。これで君ときちんと結婚できる」  千枝華は胸がいっぱいになってなにも言えなくなった。  彼のスマホが鳴ったのは、そんなときだった。  将周はスマホを見てニヤリと笑った。任務完了♪ との表示をすぐに削除する。 「返信しなくて大丈夫?」 「ああ。仕事が終わったって報告だ」
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