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「どうしたの、心配なことがあるの?」
気遣う声に、将周は思考から戻った。千枝華が彼の顔を覗き込んでいる。
「逆だ。もう何も心配することはなくなったんだ」
将周は優しく微笑みかける。
「千枝華、愛しているよ」
「私も」
千枝華はうっとりと将周に答える。
「覚悟はいい?」
言われて、千枝華は静かに頷いた。顔が赤いのはシャンパンのせいばかりではない。
将周は千枝華にゆっくりと唇を重ねる。
ツリーのイルミネーションが星のようにまたたき、二人を優しく包み込んだ。
真っ白な雪が聖夜を静かに彩る。
二人の長い夜はまだ始まったばかりだ。
終
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