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「なにかあったらすぐに教えて」
「もちろん」
千枝華は将周の背に手を回す。
将周の温かさに、千枝華はホッとした。
あの男にどきどきしたのなんて、一瞬の気の迷いだ。
こんな名刺は捨ててしまおう、と千枝華は将周の腕の中で思った。
***
「良かったら先に読みますか?」
「いいの!?」
図書室で出会ったそのとき、千枝華と将周は同じ本を借りようとしていた。
同じ作家のファンだと知ってうれしくなり、千枝華は先を譲った。
「すぐ読むから。明日の放課後、待ってて」
「貸出手続きしますね」
千枝華は了承し、カウンターに入った。
「君、図書委員なの?」
「違います。でも図書室に通ってたら、先生に勝手に貸し出しとかしていいよって言われるようになっちゃって」
クラスに居場所がなくて図書室に通っていたのだが、それは言わない。
将周はうらやましそうに目を細めた。
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