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学校の近くに着くと降ろせと言われたので仕方なく自転車を押して歩く。
「楽しかった?晴ちゃん」
そう問いかけると、晴ちゃんは複雑な表情をしながら
「…すごい楽しかったです」
と小さく呟いていた。
「でも、普段はダメです。今日っきり」
「真面目すぎない?晴ちゃん」
こんな楽しかったのに2度目はないなんて残忍な。
楽しかったって言ってくれるならまたしてくれてもいいのに。
「私生徒会室行くので、ここで。」
そう言って俺からそそくさと離れようとする晴ちゃんに
「昼休み、会える?」
そう言って呼び止めた。
もっと話していたい。
こんな朝の時間じゃ足りない。
それに俺が悪いことしないように見ててくれるんでしょ?
なら一緒にいてくれるよね。
他の人と違って俺と一緒に素でいてくれる晴ちゃんに俺はこの時から縋るようになった。
「…クラスメイトとの交流もした方がいいですよ 」
なんて拒まれたけど、そんなくだらないことで折れる俺じゃない。
「友達いなさそうな晴ちゃんに言われても説得力なくない?」
晴ちゃんの表情が一気に冷めていく。
なんでそんな顔。
俺とだけ友達なんじゃないの?
「…蒼くん、オブラートに包んでください」
「でも、俺と友達じゃん?晴ちゃん」
そう言うと晴ちゃんは意外だと言う顔をしている。
え、自転車にけつした仲にもなれば友達じゃないの?
言われてみれば俺も友達の概念がわからない。
友達ってか、知り合いになる前にそもそも避けられるし。
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