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第二話
――該当製品なし。
ノートパソコンに自らが打ち込んで表示されたその文字に、戸塚は嘆息した。
人体を切断できるほど大型の油圧カッターの多くは、一般的に消防が使用するような救助現場で用いられることを想定しているらしい。
そのような油圧カッターに、殺害現場で採取されたような、最低限の難燃性しか備えていない作動油は、まず使われないとの回答も、複数のメーカーから寄せられている。
鑑識の資料にあった「その他多数」の中に、大型の油圧カッターは含まれないということだ。
戸塚はパソコンで纏めた書類をプリントアウトし、川島と共に被害者の母親のもとへ四度目の聞き込みに出掛けている比嘉のデスクに置いた。
国東の唯一の肉親である母は、寝たきりに近い状態だ。体調の良い時であっても、長時間の話はできない。そんな状態の母親を、ヘルパーを雇っているとはいえ自宅で介護しながら企業のトップとして働く国東に、個人的な恨みを持つ人物は浮かび上がっていない。
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