第二話

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「油圧カッターのものじゃない……。だとしたら何? あの現場で使われた油圧システム……。何が考えられる? 殺害と遺棄に何が必要?」  再び自分のデスクに戻った戸塚が、モニターに現場の3Dモデルを映し出して独り言つ。 「順序だてて考えてみろよ」  戸塚の背後で脇坂が声をかけた。戸塚が上体だけを後ろに向けてそのアドバイスに反応した。 「順序だててって、犯人の行動をですか?」 「いや、被害者のだよ。犯人の行動だとか、動機だとかは考えるな。何の材料もないうちに考えたら正解が見えなくなる」 「……って、警部が言ってましたね」  苦笑して返した戸塚に、脇坂も口角を上げて戸塚の横のデスクに腰を下ろした。 「実際犯人の性別も分かっていないからな。行動を読もうとしても無理がある」 「性別なら男でしょう?」 「だから、そういう思い込みや決めつけを辞めろと言ってるんだよ。……警部が」  捜査に失敗や間違いはつきものだ。多くの失敗を経験している比嘉や脇坂の言葉に、戸塚は初めから逆らうつもりなどない。  ただ、黙って従うことと、自分の意見を飲み込むこととは違う。比嘉班に配属されて、最初に比嘉から言われた言葉だ。
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