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死体はその血痕が残る天井の下に、バラバラにされていながら無造作に集められていた。まるで箒で掃いたかのように、散らばった書類、ボールペンやハサミなど、争ったときにデスクから落ちたと思われる物も、死体と一緒に纏められている。
床の血痕は、その死体を含めた「ゴミ」の塊の入り口側に多く見られた。
「まだ時間がかかりそうか?」
比嘉は、死体の一部を入れた黒いビニール袋を持って部屋を出て来た鑑識官に訊いた。
「そうですね。全部が終わるまでは三、四日かかるでしょうね。検視だけなら、日付が変わる、ということはないでしょうが……」
その鑑識官は、現場内を振り返ってそう答えた。比嘉が腕時計に目を落とすと、時刻は午後一時を回ったばかりだった。
「そうか……。川島、ここに居ても邪魔になるだけのようだ。本庁に戻ろう」
「了解です。あ、飯食ってから戻るでしょう? この近くなんですよ、この前話したカツ丼の旨い蕎麦屋」
凄惨な現場を見た直後とは思えない川島からの提案を、比嘉は苦笑しつつも受け入れた。
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