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現場オフィスには、防犯カメラが設置されていた。火事や地震などの災害でオフィスが被災したとしても映像が残るよう、外部に設置されたストレージにデータを送っているウェブカメラだ。そのデータには、被害者の生前の姿がはっきりと記録されている。
被害者の氏名は、このオフィスを利用しているIT企業の代表、国東ケイブン三十四歳。
本名は国東敬文という生粋の日本人だが、仕事では海外の顧客も多いのか、自社の社名も、代表者名もCAVENとしている。
その国東が一人でオフィスに来たのが三月十七日日曜日の午後七時二十八分。
出張の帰りなのか、大きめのスーツケースを手にしていた。その時点のオフィスは整然としていて、床にシートも敷かれていない。
その後防犯カメラは、オフィスに置いてある国東本人のパソコンを使い、国東本人の手によって、接続が遮断されていた。
「すまない、始めよう」
管理官の原弦司が片手を挙げながら会議室に入ってくると、待ち受けていた二十数名が起立し、敬礼の後、一人を除いて着席した。その立ったままの一人が口を開く。
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