プロローグ

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そんな絶望の中で、姿なき脅威[異界のもの]を唯一知る人間たちがいた。 それが、『現実世界』の全てを無力と化す[侵略者]に対抗し得る手段を持つ守護者『ガイアセイバーズ』である。 彼らは選ばれた存在であり、人間の持てる能力を限界まで高めたうえで、地球が育む『自然』の力を借りて戦闘に臨む。 それぞれが持つ長所や特技を活かしながら連携し、人外の力を振りかざす[異界のもの]に対し互角に渡り合っている。 『セイバー』は[異界のもの]に遭遇すると、専用の戦闘フィールド『転異空間』を造り出す。 『転異空間』はまた、『現実世界』とも[異界]とも次元が異なり、ふたつの世界の狭間に置かれ、どちらからの干渉も受けずどちらにも影響を与えない、という性質を持つ。 造られると同時に、『セイバー』と[異界のもの]がもれなくどちらも中に引き込まれ、ふたつの勢力が『空間』内に隔離されることになる。 これにより、特に『現実世界』にとっては突如現れた[異界のもの]が跡形もなく消え去ることとなり、被害拡大を防ぎ、何事もなかったかのような平穏を取り戻すことができる。 人々へ危害が及ばない空間で、『セイバー』たちは[侵略者]を迎え撃ち、その身をもって『現実世界』を護っている。 『セイバー』はまさに、見えない恐怖にさらされる『現実世界』の人々の盾となる存在なのである。 彼ら『ガイアセイバーズ』は、『現実世界』の平和の一端を担っていると言っても過言ではない。 しかし、見えない[敵]とひとの目に触れないところで接触し戦う彼らの姿は、誰の目にも触れることはない。 事が始まったことも終わったことも知れないまま、与えられた使命と『選ばれた者』として授けられた力をもって、今日も知らない誰かを護っている。 そんな"ヒーロー"と言える存在の彼らは、普段は人間社会に身を置いていて、『セイバー』である瞬間以外は周りと変わらない日常を過ごす、ごく普通の青年たちなのであった。
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