15人が本棚に入れています
本棚に追加
「王族だからって、浮気は許されないわぁ。私はずぅっと心配していたのよぉ? エリカが嫁いでからもそうなるんじゃないか……私の可愛い娘が、つらい思いをするんじゃないかってぇ。愛妻家の陛下のもとに生まれた殿下が、なんでこうなっちゃったのか、謎よねぇ」
頬に手を当てながら空を見上げるお母さま。
……確かにそれは、私も謎なんだけどね。
オイゲン陛下は愛妻家として有名で、『彼女さえいれば良い』ときっぱりと言い切ったといエピソードが有名だ。
そして、第一王子である殿下の他にも、三人の子どもたちがいる。
二歳ずつ年齢が離れているのよね。あまり会話をした記憶はないけれど……
「一応、私たちも釣書を確認したんだけどねぇ。エリカはいろいろ努力して王族に負けないくらいの知識やマナーを身につけたでしょう? だからなのか、結構公爵家からも多いのよぉ」
――ちらり、とセバスチャンがテーブルに置いた釣書の山に視線を向ける。
公爵家に嫁げば、否応なしにダニエル殿下と会うことになるだろうから、お断りしたい。昔の女扱いされそう。
「だからねぇ、ある意味ちょうどいいのかもしれないと思ったのよぉ。あの人のお友だちの子なら、安心できる気がするでしょう?」
うふふ、と微笑むお母さま。その表情からはお父さまへの信頼と愛が感じられて、なんだか惚気を聞いているような気持ちになりながらも、「そうですね」と返した。
最初のコメントを投稿しよう!