お見合いで一目惚れ!? 2話

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「うふふ、エリカったら、顔を真っ赤にさせちゃって」  お母さまが小声でつぶやく。だって、だって!  釣書だけではこんなに格好いい人が来るとは思わないじゃない――……! 「ようこそ、レームクール家へ。レオンハルト、会うのは久しぶりだね」 「はい、レームクール伯爵。ご無沙汰しております」  私の手を離して、すくっと立ち上がってから、お父さまに身体を向けた。  そして、軽く頭を下げる。  フォルクヴァルツ辺境伯の横顔もとても素敵で……婚約を白紙にされてから二週間くらいしか経ってないのに、私の心はすっかり彼に傾き始めてしまったようだわ……  だって、こんなにも、ドキドキと胸が高鳴っているのだもの。  きっとこれから、『恋』に変わるのだろう。  お父さまとフォルクヴァルツ辺境伯が会話をしていると、お母さまが近付いてきた。 「格好いい人よねぇ?」  扇子で口元を隠して、こそっとささやくお母さま。  こくりとうなずくと、お母さまはぱぁっと表情を明るくさせてお父さまに近付き、クンっと袖を引っ張った。  お母さまに顔を寄せるお父さま。お母さまはなにかをささやいているみたい。  すると、すぐにお父さまがこちらを見てから小さくうなずき、フォルクヴァルツ辺境伯の肩にぽんっと手を置く。 「それじゃあ、早速だけど二人で話してみてくれるかい? 行こうか、マイハニー」 「ええ、ダーリン。ごゆっくり楽しんでねぇ」  するりとお父さまの腕に自分の腕を絡ませると、お母さまはパチンとウインクして……両親とセバスチャンは応接間から出ていってしまった。  残された私たちは互いに顔を見合わせる。  待って、急に二人きりだなんて、どうすればいいのっ?
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