お見合いで一目惚れ!? 3話

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お見合いで一目惚れ!? 3話

「レームクール伯爵令嬢」 「はい」 「その、少し、話をしませんか?」  柔らかい口調で問いかけられ、フォルクヴァルツ辺境伯に、小さくうなずいた。  また胸がキュンっと高鳴る。……ダニエル殿下には感じたことのない、感覚。  これが『恋』なのかしら……? もしもこれが『恋』なら、一目惚れということ? 「その前にお一つ、お願いしたいことがございます」 「なんでしょうか?」 「私のことは、どうか『エリカ』とお呼びください」 「……では、わたしのことはレオンハルトか、レオンと呼んでください」  えっ? 出会って数分で愛称呼びを許して良いの? と思わずレオンハルトさまを見つめてしまった。  彼は私の考えを読んだかのように、口角を上げて片目を閉じ、口元で右手の人差し指を立てる。 「フォルクヴァルツって、言いづらいでしょう?」 「……ふふっ」  自分の苗字のことをそんなふうに話すのが面白くて、笑い声が出た。  私とレオンハルトさまは、応接間のソファに向かい合うように座り、互いににこりと微笑み合った。 「……まずは、もう一度自己紹介を。レオンハルト・フォルクヴァルツ。年齢は二十三です。容姿は……まぁ、見ての通りですね。辺境伯をしております」 「……あの、レオンハルトさま。なぜ私相手に敬語なのでしょうか?」  辺境伯であるレオンハルトさまのほうが、格上なのに……どうして? と首をかしげると、彼は目をぱちくりと瞬かせて、人差し指で頬をかく。 「下心、ですかね」 「え?」 「その、……良く思われたいので」  彼の頬がほんのりと赤く染まっていることに気付いて、私は花束に視線を落とした。
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