お見合いで一目惚れ!? 3話

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 ……下心、良く思われたい……これは、もしや、私に一目惚れをしたということ……?  いいえ、待って。違うかもしれないわ。  父親の友人の娘だから、という意味かもしれない。 「仕事に追われて、気が付いたらこの歳になっていました。なので、趣味もありません」  自己紹介の続きを口にして、レオンハルトさまはにこっと人懐っこく笑う。  成人している男性なのに、どうしてこんなに可愛く見えるのかしら……? 「では、次は私の番ですね。エリカ・レームクール。レームクール伯爵家の長女です。年齢は十八。容姿はこの通り……と、言いたいところですが、女性はメイクでガラッと雰囲気が変わりますので、今の私の容姿をあまり信用しないでくださいませ。メイドたちが張り切ってくれた結果ですので」  レオンハルトさまは目を(またた)かせ、それからふっと微笑む。私は言葉を続けた。 「……それと、ご存知かと思いますが、ダニエル殿下の元・婚約者ですわ」  私の髪色も、レオンハルトさまの髪色も黒だから、なんだか親近感がわく。  前世の故郷を思い出せるから、かな?  まぁ、私の瞳は落ち着いたピンク色だから、鏡を見るたびに異世界なんだなぁとしみじみ感じちゃうけどね。 「……ダニエル殿下とのことは、ここに来るまでに耳にしました。その……気落ちは、していませんか?」 「はい、まったく」  心配そうに、眉を下げて問う姿を見て、緩やかに首を縦に振る。  ダニエル殿下と良い関係を築けなかったことに、私の努力が足りなかったのかもしれないと考えたことはあるけれど……。私一人の努力では、『愛』は(はぐ)めないのよ。
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