お見合いで一目惚れ!? 3話

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「レオンハルトさまは、ダニエル殿下と言葉を交わしたことがありますか?」 「数回あります」 「……どう思われました?」  私が真っ()ぐにレオンハルトさまを見つめて尋ねると、彼は口元に手を当て、考えるように黙り込んだ。  そして、ぽつりと一言。 「自由な人」  と。  まぁ、確かにダニエル殿下は自由な人だったけれどね。  王族としての責務は一応果たしていたとは思うけど、他が自由な人だった。  おそらく、私のことを試していたんだと思う。 「そうですね、私もそう思います」  両肩を上げる私に、レオンハルトさまは首をかしげた。 「彼は、私のことを試していたのだと考えています。どこまで許されるのか……結果的に、年に一度の浮気を許していた私が、愚かだったのでしょうね」  アデーレのことに関してもそうだ。  ただ、ゲームのように婚約破棄を口にするとは思わなかった。だって、徹底的にアデーレと会わないようにしていたのだもの。  それだけアデーレに惚れていた、ということかもしれない。彼女の言葉だけを『真実』として受け取ってしまったのだろう、きっと。  勝ち誇ったような表情を浮かべていたアデーレのことを思い出して、つい重いため息を吐いてしまった。 「年に一度の浮気……」  ああ、そこまでは知らなかったのね。レオンハルトさまはなんとも言えない困惑しているような表情を浮かべている。 「ええ。それで今回……もういいかなって思いましたの」 「それは……諦めたということですか? 彼とともに歩むことを?」 「……ええ。私は、私を愛してくれる人が良いと、ダニエル殿下が浮気するたびに考えていましたの。それに――あの婚約は、政略でしたから」
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