お見合いで一目惚れ!? 5話

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「レームクール伯爵家の使用人は、みんな親切な人ですね」 「そうですか?」 「はい。レームクール伯爵の人望なのでしょうか。オレの部下たちは戦友のようなものなので、結構きついことを言うこともあるし、態度で示すこともあるんですよ」 「まぁ……。そういえば、騎士団に所属していたと……その頃からの付き合いなのですか?」 「ええ。騎士団は寮で……そこでいろいろ学びました。尊敬する師にも出会えましたし、あの頃のことを思い出すと……こう、ゾッとすることも多いのですが、得たもののほうが多いですね」  ゾッとすることってなにかしら?  騎士団の人たちがゾッとすること……命の危機……? 「尊敬する師とは、どのような方でしたか?」 「騎士の在り方を、その身で()せてくれた方です」  騎士の在り方……それは、弱きを助け、強気を(くじ)く。  武勇に優れ信義を貫き、寛容を持ち敬虔(けいけん)な態度を取り、礼儀を守る。  それが騎士道と伝えられていること。 「それは、とても素敵な方なのでしょうね」 「いつか、あの人のようになりたいと願ったほどです。残念ながら、師はもう騎士を引退して、田舎暮らしを充実させているようですよ」 「そうでしたの……一度お会いしてみたかったので、残念ですわ」  騎士道を貫き通した方を、一度見てみたかった。
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