お見合いで一目惚れ!? 5話

3/4
前へ
/36ページ
次へ
「でしたら、いつか会いにいきましょう。師の暮らしている村の場所は存じておりますので」 「それは楽しみですわ」  レオンハルトさまと一緒に旅をすることを想像して、笑みを浮かべる。  だって、楽しそうなのだもの。  彼とその村のことを話していると、あっという間に温室についた。  温室の扉を開けて中に入ると、ふわりといろいろな花の香りが鼻腔をくすぐる。 「……これは、すごい……」 「我がレームクール家が誇る温室ですのよ」  さっと扇子を取り出して広げ、口元を隠して微笑んだ。  中には色とりどりの薔薇が咲き誇っている。  もちろん、ただ咲かせているだけではない。  この薔薇は精油にしたり、ジャムにしたりといろいろ楽しめるもの。  濃厚な薔薇の香りはその人の印象を華やかにするし、ジャムにすれば美味しくいただくことができる。  もちろんローズティーにしてもいい。  つまり、レームクールの薔薇はなんにでも使えるということだ。 「……あの、エリカ嬢。どのようなアクセサリーがお好きですか?」  温室の真ん中に、テーブルと椅子が用意されている。  これは温室の花々を楽しむためにセッティングされたもので、私が生まれる前から置いてあるらしい。  椅子に座り、真剣な表情を浮かべてそう問いかけるレオンハルトさま。  思わず目を丸くしてから、言葉の意味を理解した。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加