お見合いで一目惚れ!? 5話

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「このくらいの、シンプルなものが好きですわ。どんな服装にも合いますし、軽いと身につけているのも楽ですから」  自身の首元を指して、にこりと微笑みを浮かべる。 「それは……少し、意外ですね。数年前にお見かけしたときは、このくらいの大きな宝石のネックレスをしていたので……」  両手を使って「このくらい」と丸を作るレオンハルトさまの姿を見て、なんだか愛らしさを感じてしまった。  だって、身長が高くて、騎士団に所属していたからかガッチリとした体格の男性が、両手で丸を作っているのよ?  これは……ギャップ萌え、というやつかしら?  それにしても、数年前の宝石のことをよく覚えていらっしゃる、と感心した。  確かに数年前のパーティーの火、そのくらいの大きさの宝石を身につけていた。……とても肩が凝ったので、それはもう使っていない。 「それはおそらく、ダンスパーティーのときですわね。ダニエル殿下と踊ったので……え、あのダンスパーティー、レオンハルトさまもいらっしゃっていたのですか!?」  確か三年前、学園の入学前に行われたダンスパーティーのときだわ。  あのときは、殿下の婚約者としてあの場にいたから……  人は見た目で印象が決まる。  ダニエル殿下の婚約者として、背伸びをしていたのだ。  正直に言うと、見栄でもあったわ。  きれいなドレスを身にまとい、きらびやかな宝石を誇示(こじ)するように見せつける。  それがあのときの戦闘服。 「それでは、正確には初めまして、ではありませんね……」 「いえ、遠目から見ていただけなので。……きれいな人だな、と」  目元を伏せて微笑み、頬をかく姿に鼓動がドキッと跳ねる。  まさか、そんなことを言われるとは思わなかったから……!  確かにきれいであるように努力はしているけれど、それを直接、そしてオブラートにも包まず伝えられるのって、とっても心がドキドキするのね……!
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