お見合いで一目惚れ!? 6話

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お見合いで一目惚れ!? 6話

 かぁ、と耳まで真っ赤になったレオンハルトさまに、にっこりと微笑む。  婚約を白紙にしてくれてありがとうございます、陛下!  そしてありがとう、ダニエル殿下とアデーレ! あなたたちのおかげで、こんなに格好いい人とお見合いできました!  ダニエル殿下と結婚してから出会っていたら、悲惨だったわ。私が!  それにしても、耳まで赤くなっているレオンハルトさま……照れていらっしゃる?  女性とあまり接してこなかったから……? 「ええと、その、こ、光栄です」  あまりにも真っ赤でまるで熟れたトマトのよう。  ――でも、なんだか可愛く見えちゃうのよねぇ、レオンハルトさま。  まさか婚約を白紙にしてからすぐに、こんな出逢いがあるとは思わないじゃない?  照れ隠しのように花を眺める彼に、私は小さく笑みを浮かべる。  目の前にはイケメン、横を見ればきれいに咲き誇る薔薇。  なんだか良いシチュエーションね。 「失礼いたします。フォルクヴァルツ辺境伯さま、お嬢さま、お茶とお菓子をご用意しました」 「ありがとう。ちょうど喉が渇いていたの」 「あ、ありがとうございます」  頼んでいたお茶とお菓子を用意してくれたメイドが、レオンハルトさまの言葉に目を大きく見開いた。きっと、お礼を伝えられるとは思わなかったのだろう。  メイドはすぐに柔らかく目元を細めて「いえ」と頭を下げ、手際よくお茶とお茶菓子をテーブルに広げる。
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