お見合いで一目惚れ!? 6話

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「なにかご用でしたら、いつでもお呼びください」 「ええ、そうするわ」  メイドが一礼して去っていく。その姿を見送り、カップへと手を伸ばした。  お茶を一口。  喉が渇いていたから、水分が身体に広がっていくのを感じ、ほっと息を吐く。  レオンハルトさまもお茶を飲み、なにかに気付いたように顔を上げた。 「これは……ローズティーですか?」 「はい。お口に合いますか?」 「こういうものはあまり飲んだことがないのですが……、思ったよりも、飲みやすいのですね」  仕事中、どんなお茶を飲んでいるのかしら? いや、もしかしたらコーヒーかもしれない。 「良かった。ハーブティーには好みがあるので、レオンハルトさまのお口に合ったのなら、嬉しいですわ」  見た目も香りも華やかなハーブティーだし、味に関しては本当に好みとしか言えないから……  レオンハルトさまはクッキーに手を伸ばして、さくりと食べた。  幸せそうに食べる人だなぁと、新しい発見に思わず口元が緩んでしまう。  こうしてまったりとした時間を過ごすのも悪くないけれど、その前に必要なことを済ませないとね。 「レオンハルトさま、現実的なお話をしましょう」 「現実的な、ですか?」 「はい。レオンハルトさまは王都にいつまで滞在できますか? 私は学園も卒業したので、少し羽を伸ばしてからレームクール領に戻るつもりでした」
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