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レオンハルトさまを待たせることになるので、急いで準備を整えなくては。
メイドたち数人を引き連れて、外出用のドレスを選ぶ。
うちのメイドたちは腕がいいから、お任せよ。
外出なので動きやすいドレスと靴。シンプルなアクセサリーにつばの広い帽子。この帽子も飾りがあまりないもの。フリルはついているけれど。
「いかがでしょうか?」
「完璧よ、ありがとう」
最後に化粧を直して、レオンハルトさまの待つ場所へ向かう。
レオンハルトさまは、私の両親の談笑していた。
お母さまが私に気付いて、「エリカ、今日は一段ときれいねぇ」と頬に手を添えて微笑んだ。お父さまもこちらに顔を向け、うなずく。
「やはり、うちのエリかはきれいだね」
「……ありがとうございます。お父さま、お母さま」
こういう会話は慣れているんだけど、レオンハルトさまの前だとなんだか気恥ずかしい。
彼は和んだように目元を細めていた。
「――それでは、エリカ嬢のお時間をいただきますね」
「エリカのことを、よろしく頼む」
「はい、もちろんです。エリカ嬢、行きましょう」
レオンハルトさまの言葉に、足が動く。
彼の前に立ち、顔を上げて「はい」と笑みを浮かべると、お父さまとお母さまから「行ってらっしゃい」と声をかけられた。
「行ってきます!」
振り返り、元気よくそう言って、レオンハルトさまのエスコートで馬車に乗る。
……どこに連れていってくれるのかしら?
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