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初デート! 2話
「本当にきれいですね……」
チューリップは誰かにきちんと手入れをされているようで、愛情をたっぷりと注がれて美しく咲き誇っている。
赤、黄色、白……他にもマーブル模様のチューリップも咲いていた。こんなにたくさんのチューリップを見る経験はなかったから、なんだか新鮮だわ。
「エリカ嬢のほうが綺麗ですよ」
まさかそうくるとは思わなかった……!
チューリップに向けていた視線を、思わずというようにレオンハルトさまに移す。
さらっと甘い言葉を口にしているのに、彼は「エリカ嬢?」と首をかしげている。素? 素なの?
そりゃあね、貴族のあいだでは女性を大切に持ち上げることも教えられるでしょう。
褒められていやな気持ちはしないし……ただ、ただ……!
自分の好みの方からの褒め言葉って、威力が段違いよ……ッ!
ありがとう存じますって、笑顔で言えばいいのに。
私は口をパクパクと金魚のように動かすしかできなかった……!
「……どうかしました?」
ふるふると首を横に振る。
しっかりしなさい! エリカ・レームクール!
自分で自分を叱咤して、じっとレオンハルトさまを見つめる。
吸い込まれそうな青色の瞳を見ていると、彼が不思議そうな表情を浮かべた。
「お世辞でも嬉しいですわ。ありがとう存じます」
なんとか言葉にできた……! 少し声が震えていたかもしれないけれど、返答としてはまずまずのできではなくて!?
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