初デート! 2話

2/4
前へ
/142ページ
次へ
 自画自賛でなんとか自我を保とうとしたけれど、レオンハルトさまは目を数回瞬かせる。 「本心なのですが……」  そして、心底不思議そうに首をかしげ、追撃をくださった!  ……おかしいな、伯爵家の令嬢として、ダニエル殿下の元婚約者として、こんなふうに褒められることは多々あったのに!  婚約が白紙になって、私の気が抜けたのかな!?  それとも、この方が私の好みにばっちり一致しているから!? 「あ、ありがとう存じます……」  私が照れちゃったら、どうしようもないじゃないー!  でも、でもっ、とってもタイプなイケメンからそんなことを言われたら、さすがに照れるわ!  平常心、カムバック。  深呼吸を何回か繰り返すと、チューリップの甘い香りが鼻腔をくすぐった。 「あ、良い香り……」 「甘い香りですね。エリカ嬢も良い匂いがします」  だからっ! そういうことをっ! さらっと口にしないでっ!  ――と、心の中で騒いでから気付く。  ……私、香水つけてないんだけど……?  シャンプーやコンディショナーの香りかな? それとも、ヘアオイル? 「……あの、私、そんなに匂いますか……?」 「ふわっと香るくらいです。香水って感じもしないので……不思議だなぁ、と」 「ヘアオイルの香りかしら……?」  匂いがきついのは苦手だから、試行錯誤を繰り返し、自分で用意したのよね。あまり香らないヘアオイル。  香りと香りがぶつかって具合を悪くしたことがあるから……  ちなみに、そのヘアオイルはお母さまやメイドたちにも大人気だった。  みんな一度は経験があるのかもしれないわね、匂いのぶつかり合い……
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

171人が本棚に入れています
本棚に追加