卒業パーティーで婚約破棄イベント 2話

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「……ダニエル。エリカ・レームクール伯爵令嬢といっていることが違うようだが? それに、その娘はなんだ?」 「ち、父上。俺は真実の愛に目覚めたんです!」 「……年に一回は必ず浮気をする、お前が?」  オイゲン陛下は疑うようにじろりとダニエル殿下を睨む。口をぱくぱくさせる殿下を見て、もしかして、と思った。  もしかして……まさか陛下が、殿下の浮気のことを本気で知らないとでも……? 「気付いて……!?」 「我が息子ながら、本当に情けない……」  オイゲン陛下が額に手を当てて、左右に首を振り、ため息を吐いた。  それを見たアデーレが声を上げる。 「だ、ダニエル殿下は情けなくなんかありません! そう、彼は真実の愛に目覚めていなかったのです! エリカさまとは合わなかっただけですわ!」  真実の愛が略奪という意味なら、いろんな意味で四面楚歌になりそうな気がするわ。  真実ってなんだっけ? 「どうしてそう思う?」 「だ、だって、本当に愛しているのなら、愛する努力をして、愛される努力もするでしょう!? エリカさまはそんなことをしなかった! だから婚約破棄されるのが彼女の運命だったということです!」 「王族の婚約が、愛だけで決まるわけがなかろう」  呆れたようにバッサリと、切り捨てられた。  アデーレは自分の主張が通らないことにショックを受けていたみたいだ。  自分が正義だと信じて疑わないその姿勢、ある意味すごいと思うわ。  元々、この婚約はオイゲン陛下からレームクールに持ちかけた婚約であることも、ダニエル殿下が私と婚約したいと言い出したことも、彼の中ではさっぱりと忘れられているのだろう。  オイゲン陛下とお父さまが、いろいろ話し合って決めた婚約らしい。
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