卒業パーティーで婚約破棄イベント 3話

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「すまない、エリカ嬢。この愚息が本当に申し訳ないことをした。エリカ嬢の貴重な八年を付き合わせてしまって……」 「いいえ、オイゲン陛下。おかげで私もいろいろ学べましたので……」  十歳の頃から八年間。  いろいろなことを教えてくれた人たちには、感謝しかないわ。  その気持ちを込めて微笑むと、オイゲン陛下は申し訳なさそうに眉を下げ、そして口を開く。 「ダニエルとエリカ嬢の婚約は、今日を以て白紙にすることを宣言する。理由はダニエルの不貞。ふたりとも、こちらに来なさい」 「父上!」 「わ、わたくしもですか?」 「いいから、さっさとついてきなさい。お前たちのことを、たっぷり聞かせてもらう」  地の底に響きそうな声だった。  それだけで、オイゲン陛下がとんでもなく怒っていることがわかる。  ごくり、とダニエル殿下とアデーレが唾を飲み込み、慌てて陛下のあとを追っていくのを見送った。  ――さて、このくらい付き合えば良いわよね?  こちらを(うかが)うような視線を感じながら、私は扇子を閉じてカーテシーをする。 「それでは、私はこれで失礼いたします。みなさま、良い卒業パーティーをお過ごしください」  にこり、と微笑みを浮かべて、ほんの少しだけ駆け足で会場をあとにした。  幸い、私を追ってくる人はいない。  まぁ、あれだけの騒ぎだったのだから、興味本位でも声をかけられる雰囲気ではないと、みんな察したのだろう。
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