卒業パーティーで婚約破棄イベント 1話

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卒業パーティーで婚約破棄イベント 1話

 とある学園の卒業パーティー。  みんな色とりどりのドレスを着て、パートナーにエスコートをしてもらっている。  そんな中、私――エリカ・レームクールはたったひとりで会場に入った。  一気に会場がざわっと騒がしくなり、小さく息を吐く。  お父さまとお母さまが、この日のために買ってくれたドレス。  淡い水色の生地に、銀色の刺繍が美しいドレスも、こんなふうに注目を浴びるとは思わなかっただろう。  華美なアクセサリーよりも、シンプルなアクセサリーを好む私の格好は、一見するとあまり目立たないかもしれない。  だが、ネックレスもイヤリングも、一級品だ。  艶のある黒髪をアップにして、落ち着いたピンク色の瞳で辺りを見渡す。  ――会場の真ん中に、探していた人たちがいた。  私と同じ水色の生地のドレス。  違うとすれば、彼女のドレスの刺繍は金色ということだろうか。  アクセサリーは大きさを誇るようにきらりと光っている。  おそらく、隣にいる第一王子、ダニエル殿下から贈られたもの。  濃いピンク色の髪に、晴天を思わせる青色の瞳。  愛らしい顔立ちの彼女。誰もが庇護欲を駆られるような彼女。  ――の、はずなんだけど、勝ち誇った表情を浮かべているのを見て、小さく肩をすくめた。 「ごきげんよう、エリカさま」 「ごきげんよう、アデーレさま」
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