こころ

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 彼女は自席にいた。早くに学校に来た友達と、楽しく笑い合っている。僕がいつも見る彼も教室内にいたが、今は一緒ではないようだった。  いつも話していた仲ではないか。気を張る必要はない。  自分に言い聞かせて、ゆっくりと深呼吸をする。彼女の周りのクラスメイトたちが離れて行ったタイミングで、彼女に声をかけた。 「久しぶり」  背後から急に話しかけたからか、彼女は肩を飛び上げてから振り返った。 「ちょっと、驚かせないでよ。それに、なに? 久しぶりってほどじゃないでしょ。いつも顔を合わせてるじゃん」  妥当な返しに、それはまあ、と僕は言葉を濁した。  別に会ったのが久しぶりってじゃないんだけど。でも、なんでだろう。彼女が話すときにする明るい表情に、いつもより安堵している自分がいた。
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