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中学三年の秋は、ほとんどの生徒が進学先を決めているし、そのための受験勉強で、去年までののんびりした気持ちがみんなから消え去っている。
小学校までよく遊んでいた友人は、高校からは私立のお嬢様学校に通うことにしたそうだ。
学童保育で、私と一緒にいつも残り組だった男子は、超進学校を狙っている。
私はというと、親に言われるまま、今の成績よりも少しランクの高い高校を狙っている。と言うより、狙わされている。
「このページから二十ページ分が、今度の小テストの範囲です。
受験勉強も大切ですが、日々の勉強もまた大事なものです。
特に歴史は……」
おじいちゃん先生は、自分たちの歩んできた軌跡を知ることは、これからの自分たちを作ることにもなるから、とても大切な事だと言いたいようだ。
でも、話の途中で、午前最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
ファラソドファソラファ〜。
そう聴こえるのに、あからさまな電子音にとても違和感を覚える。
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