羨む私

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 やさしいってどうすればいいのかな。やさしいって難しい。  それが分からない。やさしいって主観的な言葉な気がする。受け取る人によって定義が変わる気がする。だから、”天使”という言葉が指すようなやさしい人になるのは簡単なことではない。  なのに、人に優しくなろうときめた中学生の私は、そのことまで考え及ばなかった。  それでも、諦めるわけにはいかない。  「なんでそんなに天使にこだわるの。もう高校生なんだよ。大人になった方が良いよ」  そう友達は言う。  私は、言いそうになった言葉を引っ込めて、明るい言葉を(つむ)ぐ。  「天使って素敵じゃない。子どもぽいって思われても、別にいいの」  そう言って笑顔をつくった。これで、いいんだよね。  泣きそうになる私に、そう言い聞かせた。  「そうだよね。天使って幼い子どものイメージあるし、頑張りなよ」  そう言う、友達はわらいながら。  友達のことを邪推(じゃすい)しかけてやめた。  やっぱり、こっちの”天使”も難しい。  それでも、人の笑顔を見れるって気分がいい。笑った顔を見ていると自分も幸せになれる。  これって他の人も同じなかもしれない。
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